RATP(パリ交通公団)が見境なく乗客から罰金を徴収しているとする批判の声が高まっている。最近では、高さ1.30メートルの観葉植物を構内に運び入れた女性が150ユーロの罰金を徴収されたケースが話題になった。女性はこの件をSNS上で報告し、反響を呼んだ。その効果からか、RATPは女性の異議申し立てに応じて、罰金を取り消すと通知。RATPの側ではその理由として、混雑していない時間帯につき、他の乗客への迷惑がほとんど生じないと判断したと説明している。
この女性は、誰にも制止されずに構内に入ったが、入ったところで取締りを受けたと証言している。同様の証言はよく聞かれ、スト時に入口が開いていたからカードをかざさずに入ったが、構内で罰金をとられたとか、「ローザ・パークス駅の入り口のそばで電子たばこを吸っていたら35ユーロの罰金を取られた。周りには大麻を吸っている人もたくさんいたのに」(ロールさん、54歳)といった声を、ルパリジャン紙は紹介している。同紙によると、違反摘発の職員は、その場での支払いに応じた乗客からの罰金収入の10%相当の褒章を毎月得ているのだそうで、あまり怖くなさそうな人を選んで数を稼ぐ方が儲かるという仕組みになっている。労組CGTは、検査官がターゲットを選別しているようなことは絶対にない、と否定するが、乗客側の不信感は根強くある。
ちなみに、規則では、最大辺が75cm以上のスーツケース等の持ち込みが禁止されており、それ以内のサイズでも、スーツケース等の持ち込みは1人につき1点に制限されている。スキー板のように長いものは、垂直に持つことを条件に持ち込みが認められる。ベビーカーはメトロ及びRER内では折り畳んでの持ち込みが原則(バスの場合は、専用のスペースにて折り畳まずに搬入が可能)で、キックスケーターも折り畳みが義務となる。危険物の持ち込みは禁止で、自転車も折り畳めないものは持ち込めない。動物の場合は、バッグかケージに入れるのが前提で、大型犬は盲導犬などに限定して認められる。罰金処分への不服申し立ては、罰金納付を条件に、3ヵ月以内に行うことができ、手続きに費用はかからない。