仏コンステレーション・テクノロジーズ、超低軌道5G衛星の展開を計画

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仏コンステレーション・テクノロジーズ&オペレーションズ社が、新たな5Gコンステレーションのプロジェクトを公表した。通信事業者の協力を得てプロジェクトを進める計画。
コンステレーション社には、BPIフランス(公的投資銀行)、実業家シャルル・ベグベデ氏のファンドAudacia、宇宙ファンドのSeraphimなどが出資している。創設者のシャルル・デルフィウー氏は、世銀で大規模インフラプロジェクトを手掛けた実績があり、貧困層向けを含めて世界中でインターネットのサービスを提供するには、通信事業者との提携が不可欠と見定めて、2022年に同社を設立した。初回調達では930万ユーロを確保し、エンジニア30人程度を雇用している。
同社のプロジェクトは、375km程度というかなりの低軌道に超小型衛星を配置するという点が新味で、高度はスターリンクなどの600-800km程度と比べて低い。この低軌道だと、地球の大気圏の影響を受けることから、衛星の安定性を確保するには技術革新が必要になる。低軌道を採用する利点としては、衛星事業者向けのKa/Kuバンドではなく、地上の通信事業者に割り当てられた5G周波数の一部を使えることが挙げられる。通信事業者の5G周波数を活用して衛星通信役務を確保し、スターリンクなどに頼らずに、通信事業者が衛星通信によるカバーを達成する方法を提供することができる。
高速・低レイテンシの衛星インターネットの市場規模は、2035年までに年間350億ユーロの規模になるものと見込まれる。この市場を渡したくない通信事業者にとって、コンステレーションのサービスは渡りに船となりうる。デルフィウーCEOは、2025年末にも最初の打ち上げを行い、2027年から2029年にかけての展開を目指すと説明。1500基程度を展開し、6Tbpsの容量確保を狙う。