パリの老朽化住宅事情

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日刊紙ルパリジャンは26日付で、パリ市の老朽化住宅対策について報じた。
老朽化した建物が突然倒壊する事件は、全国でも散発的に発生している。マルセイユ市(2018年)やリール市(2022年)の事案が記憶に新しい。パリでも、民間部門の集合住宅はその81%が築100年以上を経過しており、適正に保守がなされていない場合には、重大な事故が発生するリスクをはらんでいる。パリ市では、パリ市が設立した非営利団体APURが協力して、2008年以来、住宅建物の老朽化予防を目的とした監視制度が運営されている。水道料金未納、消防の出動、建物内に小面積の賃貸物件が占める割合といった10項目程度のデータを突き合わせて、住宅管理組合の機能不全が疑われる「破綻建物」の予備軍を洗い出す。その上で、実際に建物を検査するなどして、要注意の建物を特定し、改善のための対策に乗り出す。2022年時点では監視対象の建物が264棟に上っており、これは、市内の民間部門の住宅建物(4万9000棟)の0.5%に相当する。パリ市は、住民からの通報も受け付けており、年間で4000-6000件の通報が寄せられるが、すべての通報案件について、例外なく調査を実施している。即時退去命令が出るケースは、稀ではあるか数年に1件発生している。
APURがリストアップした物件の4分の3は18区に集中している。2000年代に進められた整備計画の成果で、サブスタンダードの建物が密集した場所などは姿を消しているが、個々の建物では、区分所有が破綻して老朽化が急速に進んでいるものも見受けられる。パリ市は、公的援助により営繕を支援したり、悪意のある所有者からは建物を徴用して社会住宅に鞍替えするなどの対応を進めている。