購買力法案、可決成立

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国会は3日、購買力法案を最終的に可決した。両院協議会が策定した妥協案を上下院がそれぞれ採択した。
購買力法案は、総額で200億ユーロに上る購買力支援策の一部を実現する目的で策定された。与党連合が過半数を失っているため、国会審議は荒れ模様の展開となったが、保守野党の共和党の修正要求の一部を与党が受け入れる形で最終的に多数派が形成された。
採択された法案には、「マクロン手当」(租税・社会保険料が免除される特別手当)の上限引き上げが盛り込まれた。2023年12月末日までの支給について、3000ユーロ(従業員向け利益分配制度を設けている企業においては6000ユーロ)を免除の上限とする。法定最低賃金(SMIC)の3倍までが対象となる。このほか、共和党の修正要求を受けて、従業員数20-250人の企業については、残業手当に係る企業側負担の社会保険料に1時間当たり50ユーロセントの控除が適用されることになった。
年金支給額と、RSAなど各種の社会保障手当、奨学金等の支給額は、7月1日に遡って4%の引き上げが適用される。AAH(身障者自立手当)については、配偶者の所得水準は考慮に入れずに支給額が算定される形に改められる(2023年10月1日より施行)。住宅家賃の引き上げ幅を、2022年7月から2023年6月までの期間について3.5%以内に制限するとの措置については、上院修正案を反映して、中小企業の店舗等テナント料についても適用されることが決まった。
オンラインで契約が結ばれる役務契約については、簡単に解約することを可能にするボタンをサイト上に設けることが事業者に対して義務付けられた。法案にはまた、ガス不足への対応措置も盛り込まれた。国内の石炭発電所の運転再開を可能にする条項と、FSRU(浮体式LNG貯蔵再ガス化設備)の国内整備のスピードアップを図るための特例措置が盛り込まれた。