購買力法案、下院を通過:大手企業が自主的値下げを発表

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下院は22日未明、購買力法案を採択した。与党連合が先の総選挙で過半数を失ったことから、同法案の審議も困難を極めたが、最終的な投票では、与党連合に加えて、保守野党の共和党と極右RNが賛成票を投じ、法案が採択された。続いて25日に上院の小委員会における審議が開始される。
いわゆる「マクロン手当」(非課税・社会保険料免除の特別賞与)の上限を引き上げる時限措置、年金・生活保障手当の支給額の4%引き上げ(7月1日より遡及的に施行)、使用済み食用油のろ過を経た自動車燃料としての使用の許可、石炭焚き火力発電所の運転再開などの措置が採択された。また、RTT(週35時間制への移行に伴い導入された有給休暇)を従業員が返上し、代価として報酬を得ることがより容易になった。2023年末日までの時限措置として、年間7500ユーロを限度とし、所得税・社会保険料を免除することが決まった。
これと関係して、物価高騰で利益を挙げている企業への特別課税導入の議論では、標的となっている企業が相次いで、購買力支援の自主的措置を発表した。トタルエネルジーは、9月から11月まで、自社のすべてのガソリンスタンド網において、1リットル当たり20ユーロセントの割引を適用し、続いて年末まで10セントの割引を適用すると発表。海運大手CMA CGMも、本土及び海外県・領土に到着する40フィートコンテナについて、750ユーロの運賃割引に応じると発表した。これらの発表は、特別課税の導入を見送らせることを狙ったもので、政府も特別課税の導入には消極的な姿勢を示している。
下院はまた、23日に、補正予算法案の審議の過程で、公共放送受信料の廃止条項を賛成多数で採択した。公共放送受信料は、テレビ受像機を保有する2300万世帯を対象に、年額138ユーロが徴収されている。受信料の廃止はマクロン大統領の選挙公約に含まれており、家計購買力の増強につながる減税措置として提案された。代替財源として、付加価値税(VAT)の税収の一部を公共放送に振り向けることも決まった。