仏アトス(情報処理)の再建に絡んで、仏政府が戦略的重要資産に位置づけた事業を巡り、政府とアトスの間で25日に基本合意が成立した。これまでの交渉から一転して、政府は、スパコン事業「アドバンスト・コンピューティング」に限り買収し、残り事業は仏民間企業による買収を認めることを決めた。
仏政府はアトスからアドバンスト・コンピューティングの買収に向けた独占交渉を同日に開始。同事業には核兵器シミュレーションが含まれており、年商は5億7000万ユーロ、従業員数は2500人。評価額を5億-6億2500万ユーロに設定し、デューディリジェンスを経て最終的な評価額を決定する。5月31日までの期限で交渉を行う。
本来なら政府は、ミッション・クリティカルシステムズ(MSC)とサイバーセキュリティ(サイバーセキュリティ・プロダクツ)の2部門も買収するはずだったが、アトスとの間で全体の評価額について合意できず、政府は両部門の買収を断念した。ただし、政府が認めた仏民間企業のみが買収を認められることを決め、さらに、政府が優先株を取得することも取り決めた。これら事業部門の買収候補としては、タレス(防衛電子)やダッソー(航空機)などの名前が挙がっている。