アトス、嵐の中でCEOが交代:株価は急落

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仏アトス(情報処理)が15日に経営人事異動を発表した。10月に就任したばかりのベルネールCEOが辞任した。同社株価は同日の取引開始直後に15%を超える急落を記録し、株価は4ユーロ程度まで下がった。
アトスは債務返済に行き詰まっており、経営立て直しのために事業の再編を進めている。情報処理部門を「Tech Fondations」として分社化し、チェコの実業家クレティンスキー氏に売却する計画だが、最近になり、サイバーセキュリティ・ビッグデータ事業についても、エアバスに売却する方向で交渉を開始したことも明らかにしていた。アトスは、1年以内に15億ユーロの銀行融資を返済する必要があり、2年以内の要返済額は20億ユーロを超える。事業売却は債務再編と立て直しに必須の条件となるが、報道によると、クレティンスキー氏への売却交渉は実現可能性に黄信号が灯っているという。債権銀行団との交渉も間近に迫っているが、その行方も混とんとしてきた。
ベルネール氏はコンサル大手アクセンチュアの出身で、事業再編を指揮する目的でCEOに起用されたが、「戦略の調整と実行のためのガバナンスに関する見解の相違」を理由に退社した。CEOの後任には、ポール・サレ財務部長が昇格。財務部長の後任には、ボーダフォンなどで勤務経験があるドプレスト氏が社外から起用された。ミュスティエ会長は、サレ財務部長のCEO就任について、企業再編等で実績ある人物が変革の時期にあるアトスの経営者としてふさわしいとコメントした。銀行団やクレティンスキー氏との会合を控えた今週がアトスの正念場になる。