ビベンディによるラガルデール・グループの買収がようやく成立

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ビベンディ(カナル・プリュス、アバス、プリスマ・メディア等)は11月21日、傘下のプリスマ・メディアが保有する芸能週刊誌「ガラ」をルフィガロ・グループへ売却した。傘下の出版社エディティスをクレティンスキー氏に売却したのに続いて「ガラ」の売却も完了したことで、欧州委の競争当局がビベンディによるラガルデール・グループ(アシェット、ユーロップ1-2ラジオ、RFMラジオ、パリ・マッチ、ジュルナル・デュ・ディマンシュ、トラベル・リテール)の買収を許可する条件として提示した2点をクリアし、ビベンディによるラガルデールの買収が成立した。
ラガルデールは合資会社という形態により創業者子息のアルノー・ラガルデールCEOに安定した経営権を付与していたが、2021年に株式会社へ改組し、同社の買収を望んだビベンディは3年以上にわたる紆余曲折を経てようやく今回、ラガルデール株式57.95%、議決権50.50%を公式に取得した。
ビベンディのヤニック・ボロレ監査役会会長は、ラガルデールはビベンディの子会社として決算に連結されるが、経営の独立をあくまで尊重すると言明。ラガルデールの公開株式もそのまま上場を維持する意向を明らかにした。ラガルデールの事業のうち売上の半分を占めるトラベル・リテール(駅・空港の売店Relayチェーンの展開)はビベンディにとって未知の部門だが、新たな成長部門として維持していく計画だ。ビベンディは、欧州委の許可が降りた後での株式売却を望むラガルデール株主を対象に、当初12月15日としていたTOB枠での買取期限を2025年6月まで延長する。株式11.11%、議決権12.76%を持つアルノー・ラガルデールCEO は株主として残る意向を表明。株式7.7%を保有するLVMHのベルナール・アルノーCEOは意向を明らかにしていない。ラガルデール氏は2027年までラガルデールのCEOであるほか、出版大手アシェット(世界3位)のCEOにも任命されている。
ラガルデールの買収によりビベンディはコミュニケーション部門で世界トップに踊り出る。総売上は96億ユーロから165億ユーロへ、従業員数は3万8300人から6万5700人へ膨れ上がり、売上に占める国際事業の比率も54%から63%へと上昇する。