未成年者・学生の精神障害増える、新型コロナウイルス危機が引き金に

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未成年者や学生が精神障害に陥るケースが増えている。新型コロナウイルス危機が引き金になった。
調査によると、2021年には、18-24才の層のうち2割程度がうつ病エピソードを経験したと回答。新型コロナウイルス危機前はこの割合は1割余りであり、2倍に増えたことになる。ボルドー大学が学生向けに設けている心の病の相談窓口ESEでは、相談に来る人の数が30%増を記録。2021年2月に導入された「精神科小切手」(学生向けに支給されるバウチャー)の利用者数は、ESEにおいて初年の2440人に対して、2022年には4800人と2倍近くに増えた。新型コロナウイルス危機前の各種調査を比べると、「中度又は重度のうつ」と考える大学生が占める割合は、危機前で26%、危機後で43%、「自殺したいと思うことがある」と答えた人の割合も、20%から32%に増えている。新型コロナウイルス危機時のロックダウンが何らかの形で成長期にある若年者の精神形成に影響を及ぼしたものとみられ、その後も、気候変動やウクライナ危機、足元のインフレ亢進などが不安を増大させていると考えられる。また、全体の2割近くが向精神薬を服用していると回答したが、実際はそれよりも多い可能性がある。
精神障害はより若い層にも広がっている。抗うつ剤を投与されている未成年者は、2014年から2021年にかけて63%増を記録。睡眠薬・鎮静剤も155%の増加を記録した。適切な治療法がなく、子ども用の認可を受けていない医薬品が処方されていることも多いという。