軍用レーザーを製造する仏中小企業Cilasの買収者が決まった。仏サフラン(航空機エンジンなど製造)の防衛電子子会社サフラン・エレクトロニクス&ディフェンスとMBDA(ミサイル製造)が、折半出資の合弁HMSレーザーを設立し、この合弁を通じてCilasの63%株式を買収する。買収額は未公表。
Cilasは1966年の設立、従業員数が250人程度、年商が4000万ユーロ程度と、ごく小規模の企業だが、フランス軍のレーザー誘導兵器向けのレーザー供給と、ヘリコプター、戦車など向けのレーザー計測システムの供給を一手に引き受けており、戦略的に重要な企業となっている。新型コロナウイルス危機を経て輸出の急減に見舞われ、経営状態が悪化しており、63%株式を有するアリアングループ(ロケット製造)が売却先を探していた。
残りの37%株式をアレバ(原子力)から取得したルミバード(民生用レーザー)は、Cilasの完全子会社化を望んでいたが、仏政府の意向もあり、防衛部門の仏大手企業が63%株式を確保することになった。サフランはCilasと長年の取引関係があり、MBDAはレーザー兵器の開発に強い関心を示している。Cilasは、パリ五輪向けドローン対策用のレーザー兵器「Helma」を開発中で、消息筋によれば、DGA(仏兵器総局)はサフランとMBDAから、Helma開発の投資に関する保障を得たという。