政府は26日、2023年予算法案を公表した。
政府は、予算法案の策定に当たり、2023年の経済成長率を1%、インフレ率を4.3%程度と予測した。エコノミストの多くはこれらの予想を楽観的とみなしている。
財政赤字の対GDP比は目標である5%(2022年と同じ水準)を達成する。公的債務残高の対GDP比も111%と安定して推移するという。歳入は3451億ユーロ、歳出は5002億ユーロで、財政赤字は1585億ユーロに上る。収入は前年比で400億ユーロ近く増加する見込みで、これには、インフレ亢進に伴う増収の効果も貢献する。省庁別の予算は全体で、前年比で300億ユーロの増額となる。主に、エコロジー予算が前年の206億ユーロから265億ユーロへ、国防予算が同409億ユーロから439億ユーロへ、教育予算が同565億ユーロから602億ユーロへ、それぞれ増額される。国債費・関連費は566億ユーロ余りと大きい。
2023年予算法案には、公務員数の1万764人(フルタイム雇用換算)の増員が盛り込まれた。内務省(3109人)、法務省(2313人)、軍隊省(1583人)、教育省(2000人)の増員が目立つ。マクロン政権は第1期には12万人の公務員削減の目標を掲げて発足したが、その後に軌道修正に追い込まれた。2022年には207人の増員が予定されているが、2023年には増員幅が一段と大きくなった。政府はそれでも、2027年までの期間では公務員数を安定化させると約束している。
税制関係では、▽CVAE(法人の付加価値に係る地方税)を2年間かけて廃止する(2023年には半分に相当する40億ユーロ)、▽所得税の課税最低限など税額区分に対応する所得額をインフレ率並みに引き上げる(62億ユーロの徴税回避に相当)、▽たばこの値上げ(2023年に1箱平均50ユーロセントの引き上げ、2024年には35ユーロセントの引き上げ)、▽路線価の5.7%引き上げを通じた不動産課税の強化、などが盛り込まれた。エネルギー価格抑制策の継続も、発表通りに確認された。ガス・電力とも2023年の値上げ幅が15%に抑制され、1200万世帯に「エネルギー小切手」(エネルギー製品の支払いに充当できるバウチャー)が支給される。これらの措置の総額規模は470億ユーロに上る見込みだが、その一部はエネルギー価格上昇に伴う増収分(再生可能エネルギー発電事業者から徴収するマイナス・プレミアムは200億ユーロ程度)により相殺される。