第78回カンヌ国際映画祭が5月13日に開幕する。
トランプ米大統領は去る4日に、外国で制作・撮影した映画への100%課税案を発表した。対象が米国へ輸入される外国映画なのか、国外で撮影されたアメリカ映画なのか、今のところ明らかでなく、仏映画業界からは適用可能性を疑問視する声も上がっている。
その一方で、ここ数ヵ月間では、欧州の諸規制を巡って、米国の映画界やプラットフォーム事業者との攻防が激しさを増している。欧州連合(EU)の通称AVMSD指令は、オンデマンドビデオ配信プラットフォームに対して、事業を展開する地域の制作業への資金供給を義務づけたり、カタログに含める欧州製の作品の割合を規定する上での根拠となっている。ネットフリックスをはじめとする米プラットフォーム事業者は、同指令が「創作の自由」を阻害すると非難し、2026年に予定される改正での大幅な規制緩和を狙ってロビー活動を展開している。法廷闘争も展開されている。ベルギーのワロン地域は、大手プラットフォームに対して、売上高の9.5%を地元のコンテンツ制作業への投資に振り向けることを義務付けているが、ネットフリックスとディズニーは、これを過度の義務だと主張し、同国の憲法裁判所に提訴した。フランスでは、ネットフリックスとアマゾンプライムビデオが、映画館での上映から放映・配信が認められるまでの期間設定の規制を不服として、行政最高裁(コンセイユデタ)に提訴した。2社は、この規制に関する業界合意に署名していないのに、合意内容の適用を義務付けられるのはおかしいと主張している。他方、米国の業界団体モーション・ピクチャー・アソシエーション(MCA)は、去る3月11日に、欧州の保護主義を告発する「不当な商慣行」報告書を米政府に提出した。こうした中、ダティ仏文化相は18日までにカンヌ映画祭を訪問する機会に、欧州の文化主権擁護を訴えるスピーチを行う予定。