仏化粧品大手ロレアルはこのほど、スイスのガルデルマ(皮膚科化粧品等)との資本・業務提携を明らかにした。10%株式を取得し、研究開発で協力する。
ロレアルは10%株式をガルデルマの主要株主らから買収する。アラブ首長国アブダビの政府系ファンドAdiaや、スウェーデンのEQTが率いるコンソーシアム「サンシャイン・スイスコ」などから取得する。買収額は明らかにされていないが、ガルデルマの時価総額(2024年3月以来チューリッヒ株式市場の上場企業)が7月2日の終値で173億ユーロであったことを考えると、17億ユーロはくだらないものと考えられる。
ガルデルマは、2023年に41億ユーロの売上高を達成(為替調整後で8.5%の増収)。今年に入り、1-6月期の増収率は10.8%とさらに加速した。皮膚科化粧品に加えて、美容用注射剤(ボツリヌス毒素製剤など)にも注力しており、世界販売の半分をそれにより達成している。仏イプセン(製薬)が開発した製剤をライセンス販売していたが、自前での開発にも成功し、来年にはRelfydessの商品名で欧州にて発売する予定となっている。その一方で、イプセンとは契約内容を巡り係争になっている。
ロレアルは、ガルデルマの主要株主のサンシャイン・スイスコと株主協定を結び、経営には関与しない形で出資する。その一方で、共同の研究事業を進めることでも合意した。対象については明らかにしていないが、ロレアルは、ガルデルマの美容用注射剤を特に有望する旨を表明しており、この分野が対象になることが考えられる。