5月1日のメーデーで社会党議員が被害、左派陣営の亀裂が浮き彫りに

投稿日: カテゴリー: 日刊メディアダイジェスト

5月1日のメーデーで発生した暴力的な事案を巡り、左派勢力の間の対立が改めて表面化した。パリでのデモで、社会党が路上に設置したスタンドが、「ブラック・ブロック」風の覆面をしたグループや反ファシスト勢力によるやじや暴力の対象となった。
左派勢力の指導者らは、北仏ダンケルク市でのデモに揃って合流。鉄鋼大手アルセロールミタルが計画する人員削減への抗議で足並みを揃えた。しかし、パリでのデモの際には、社会党所属のゲジ下院議員らを標的に、罵声や奇声による威嚇や暴力行為などが発生した。社会党は以前から極左勢力の攻撃対象となることが多かったが、最近では、パレスチナ情勢を背景に、イスラエル寄りだなどとする論拠で攻撃を受けることも増えている。その意味で、ユダヤ人のゲジ下院議員は格好の攻撃対象になった。
左派陣営内では、左翼政党LFI(不服従のフランス)が、パレスチナ寄りの立場から、反ユダヤ的な傾斜を強めており、それと呼応して陣営内の対立は深まっている。今回の事案について、社会党の側では、LFIが自らの主義を通すために暴力をたきつけていると非難。LFIの側では、暴力行為が発生したことを糾弾したが、ゲジ議員を攻撃する論拠そのものは否定しておらず、左派勢力の間の対立の深さをうかがわせている。左派陣営に属する環境派EELVのトンドリエ代表は、当初はゲジ議員に挑発的な言動があったのではないか、との趣旨の発言をした後、軌道を修正して、「ゲジ議員には万人と同じように心穏やかにデモに参加する権利がある。極左の反ユダヤ主義が存在するのは否定するべくもない」とコメントした。