大統領府は13日、次期首相としてフランソワ・バイルー氏を指名すると発表した。バイルー氏は13日午前に大統領と2時間弱に渡り会談。大統領府はその後にプレスリリースで指名を発表した。
バイルー新首相は73才。中道勢力の主要政治家として、右派ジュペ政権における教育相(1993-97年)を務めたほか、マクロン政権でも発足時に短期間ながら法相を務めた。2007年には中道政党MODEMを立ち上げ(現在も党首を務める)、過去には大統領選挙に数度にわたり出馬した野心家でもある。2017年の大統領選挙では選挙前よりマクロン大統領支持に転じて、大統領当選後は、連立与党の一角を担うMODEMを率いて影響力を行使してきた。マクロン政権発足と共に就任した法相職は、MODEMの架空雇用疑惑の浮上と共にわずか1ヵ月余りで辞任しなければならなかったが、最近にその事件の裁判で自らは無罪判決を勝ち取り、禊を済ませたと考えてそれ以降は何かと前面に出ることが多くなっていた。
バルニエ前内閣は、予算法案審議に伴う内閣不信任案の成立により退陣に追い込まれた。そのあとを受けて就任するバイルー首相は、マクロン大統領が「共和国派」と呼ぶ左派から右派までの幅広い勢力から、何らかの協力を取り付けて政局運営の可能性を切り開くのが課題になる。バイルー新首相の指名について、「共和国派」から除外された極右RNのバルデラ党首は、とりあえず内閣不信任案に合流する考えはないとし、予算案においてこれまでに要求してきた点が認められることが不信任案に賛成票を投じない条件になる、と言明した。