マクロン大統領は17日、大統領候補として記者会見を開き、選挙公約を公表した。完全雇用の実現を柱に据えて、これまでの政策運営の方針を維持しつつ、各種の改革の継続に意欲を示した。
完全雇用の実現では、労働力の質の向上のためのトレーニング体制の強化、職業高校など職業教育制度の改革などの施策を掲げた。さらに、生活保障手当のRSAについて、「社会復帰促進のための活動に週に15-20時間程度従事する」ことを支給の条件に設定する考えを示して注目された。さらに、失業保険制度の改革を継続し、好況期には就業へのインセンティブを高め、不況期には保護を優先するという形に制度を改めることを提案した。ポールアンプロワ(ハローワーク)の改革も提案。関連機関が地方単位で協力して雇用拡大に当たることができるよう、組織を抜本的に改める考えを示した。現在、失業率は7.4%まで低下しており、マクロン大統領が前回選挙で公約に掲げた7%に近い水準が実現している。完全雇用を実現するとなると、あと2ポイントの引き下げが必要になる。
マクロン候補はまた、向こう5年間で150億ユーロの減税を実施すると約束。相続税減税と法人減税を実施すると説明した。相続税では、直系の子孫への相続の控除枠を10万ユーロから15万ユーロへ引き上げ、直系以外の控除枠も10万ユーロへ引き上げるとした。法人減税では、地方税であるCVAEの地域圏徴収分の廃止(70億ユーロ)を公約に掲げた。
学校改革では、教員に「多く働いた者が多くを得る」型の報酬制度を提案。学校長の権限を強めて、各学校が地域の現状にあわせた取り組みを推進することを認める方針を示した。「若年・教育」向け予算年間120億ユーロを設定し、その半分の60億ユーロを、追加のミッションに当たることを受け入れた教員の増給分に充当するとした。
マクロン候補はこれらを含めて、不平等是正や気候変動対策などの優先課題を設定。選挙公約の費用総額を年間500億ユーロに設定した。年金改革では、定年年齢を65才へ段階的に引き上げる方針を確認した。財政赤字の対GDP比は2027年時点で3%未満まで引き下げ、2026年時点で公的債務残高を減少に転じさせるとも約束した。