2025年の経済成長、財政赤字の削減努力が足かせか

投稿日: カテゴリー: 日刊メディアダイジェスト欧州レポート

景況機関OFCEは10月16日、2025年予算法案の影響を折り込んでマクロ経済予測を修正し、その結果を公表した。2025年の経済成長率が0.8%となり、政府予測の1.1%を下回ると予想した。2024年の経済成長率は1.1%となる。
OFCEは特に、予算法案に盛り込まれた財政赤字削減策による経済成長率の押し下げ効果を0.8ポイント分と予想。2025年の財政赤字の対GDP比も、政府が目標とする5%ではなく、5.3%と高めの水準にとどまると予想した。公的債務残高の対GDP比については、2024年末に112.8%、2025年末に115.1%と増大を続けるとした。
OFCEは、予算法案が示す財政赤字の削減努力についても、600億ユーロ(うち増税が3分の1、支出削減が3分の2)とする政府の予測を疑問視。実際の効果は440億ユーロ程度にとどまり、うち6割が税収増加により、4割が支出削減により達成するとの見方を示した。
OFCEは、予算案に盛り込まれた措置だけでこの推計を策定したが、政府が別途予告している措置も合算すると、GDPの押し下げ効果は追加で0.1ポイント分増えるとの見解を示している。その一方で、金利低下によるGDP押し上げ効果を2025年に0.4ポイント分と予想。逆に、政治的不安定性に由来するGDPの押し下げ効果は0.2ポイントに達する(2024年には0.1ポイント分)と予想した。
2025年の経済成長は主に個人消費が支える。実質賃金は上昇するが、家計購買力は0.2%の後退を記録する見込みで、これには、社会給付の引き上げ抑制と金利低下に伴う不労所得の縮小が影響する。