経済研究所OFCEは6月9日、マクロ経済予測の修正値を発表した。ウクライナ危機に伴うインフレ亢進により、家計の購買力が後退し、経済成長に陰りが出ると予想した。
家計購買力は2022年に平均で0.8%低下する。これは、先に政府が予告した年金支給額4%の引き上げの措置を考慮後の予想だという。購買力の低下幅は、2012年から2013年にかけて、サルコジ政権と、それに続くオランド政権が導入した税制改革の影響が家計購買力に打撃を与えた(1%強の低下)時に次ぐ規模の後退となる。OFCEは2022年通年平均のインフレ率を4.9%と予想。政府が決めた一連の物価抑制措置がなかったら、インフレ率は7%に達するとの推計も示した。
個人消費支出は既に1-3月期に1.5%の減少を記録。2022年通年では前年比で2.5%増を記録する見通しだが、年末時点での増加の勢いはほぼゼロになると予想される。貯蓄性向は2022年に16.7%と、新型コロナウイルス危機前の水準より2ポイント高くなる。OFCEは、1-3月期のGDP統計を折り込み、2022年通年の経済成長率予測を2.7%から2.4%へ引き下げた。年末時点の失業率は7.3%と現状並み、雇用増加率は0.6%と予想した。経済成長が減速する分、財政収支の改善も遅れ、財政赤字の対GDP比は、当初予測の5.0%よりも高く、5.6%に達する。