昆虫ベンチャーの仏Ynsectがエブリー商事裁判所に民事再生手続きを申請した。資金繰りに行き詰まり、解決策を探るために申請に踏み切った。
Ynsectは2011年に発足。昆虫培養による飼料製造を主力事業としており、北フランスのソム県内に量産工場を整備している。ただ、2022年時点で、製品販売による収入は56万8000ユーロに過ぎず、8970万ユーロの純損失を出していた(2023年財務諸表は未提出)。ベンチャー企業の資金調達の環境が厳しくなる中で、同社も成長を支えるための資金の確保ができなくなり、民事再生手続きの開始に追い込まれた。
Ynsectはこれまでに合計で6億ドルを超える資金の調達に成功。BPIフランス(公的投資銀行)を通じた国による支援も得ており、ベンチャー企業の成功例として扱われてきた。ただ、2023年に行われた最後の資金調達(1億6000万ユーロ)は、評価額を大幅に引き下げてようやく実現したと報じられており、同社はその後に、従業員の2割相当の削減を実施、経営陣もすげ替えられていた。