イルドフランス地域圏(パリ首都圏)のペクレス議長(共和党)は18日、首都圏における公共交通機関について、距離に基づいた料金体系を廃止し、一律料金に移行すると発表した。2025年1月2日より施行される。ペクレス議長はこれを「革命」と形容。地域圏の左派野党勢力も、郊外居住者に負担を強いる料金体系が廃止されるとしてこれを歓迎した。
具体的には、メトロ、RER(郊外連絡急行)、ローカル線のいずれを利用しても(乗り換えも可)、1行程につき料金は一律2.50ユーロとなる。バス・トラムウェイは2ユーロ(車内で精算の場合は2.50ユーロ)となる。ただし、空港まで乗ると、一律13ユーロの料金が適用される。
新料金体系は、郊外とパリを往復する人には有利だが、パリ市内の移動に限れば、現在の2.15ユーロ(10回券なら1回1.735ユーロ)よりも高くなる。また、紙の切符(紙以外の媒体の10回券とも)は2025年末で廃止され、その後は、定期券Navigo(1ヵ月86.40ユーロ、週単位でも購入可能)か、Navigo Liberte+(毎月15日に1ヵ月分の利用料金が引き落とされる乗車券。事前に登録が必要で本人のみ使用可)、Navigo Easy(プリペイド乗車券。登録不要)の3種に整理される。Navigo Liberte+なら、1行程1.99ユーロ(1日当たりの課金は最大で12ユーロに制限)の割引が適用されるが、Navigo Easyだと割引はない。
ペクレス議長は、新料金体系に伴い生じる費用負担を年間3000万ユーロ程度と試算。無賃乗車が減り、利用者の増大が見込めることから、全体として費用増を収入増により補えるとの見方を示している。