アタル首相、失業保険の制度改革を予告

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アタル首相は27日夜、民放テレビ局TF1とのインタビューに応じて、失業保険の制度改革を予告した。財政赤字が膨張する中で、財政健全化の手段として提案した。今秋の施行を目指すとした。
アタル首相は、財政収支の悪化について、課税を強化するか、国民がより多く働くようにするか、2つしか手段がないと言明。首相は、企業の特別利益や富裕層への課税論がこのところ高まっていることについて、ドグマティックな態度で臨むつもりはないとしたが、増税を否定する立場を再確認し、労働の価値を前面に打ち出した対応を志向する考えを示した。首相は具体的に、失業手当の支給期間の短縮や、失業手当受給資格の制限強化を通じて、働く方が有利な制度に改める考えを示した。フランスでは諸外国と比べて失業者への保障の水準が特に高いとして、制度改正を正当化した。
失業保険の制度改正はその効果が出るまで時間が必要である(給付期間を12ヵ月間に制限したとして、効果が出るのは12ヵ月後以降)ことから速効性はない。それでもアタル首相がこの問題を持ち出した背景には、今春に仏長期債務の格付け見直しの結果を発表する格付け会社各社に対して、堅実な財政運営の姿勢をアピールしたいという思惑がある。また、マクロン政権がより右寄りの有権者への浸透を目指す中で、「労働の価値」を称揚する政策運営で得点を稼ごうという考えもあるだろう。労組の反発は避けられないが、政府に近い筋からは、「自分が失業しない限り、失業者の保障への関心は一般国民の間には薄いものだ」という声も聞かれる。