仏公的債務残高、3兆ユーロを初めて突破

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6月30日発表のINSEE速報によると、3月末時点の仏公的債務残高は3兆134億ユーロとなり、3ヵ月間で634億ユーロ増加した。初めて3兆ユーロの大台に乗った。
1-3月の3ヵ月間では、国の債務が486億ユーロの純増を記録。社会保障会計の債務も174億ユーロの純増を記録した。地方自治体はほぼ横ばい(2億ユーロ増)で、各種行政機関の債務は28億ユーロの純減を記録した。コロナ禍への対応に続いて、エネルギー価格上昇等への対応が債務を押し上げている。公的債務残高の対GDP比は3月末時点で112.5%となり、3ヵ月前の111.9%から目立って上昇した。政府はそれでも2023年末には109.6%まで低下すると予想。なお、年頭は国債発行が立て込む時期でもあり、例年、この時期に公的債務残高が上昇し、年末にかけて低下するという推移を辿るのが通例となっている。
公的債務残高の3兆ユーロ突破は予想されていた事態であり、それ自体に驚きはないが、格付け会社S&Pによる国債格下げを逃れたばかりの政府にとって、イメージの悪化は避けられない。政府は2027年時点で公的債務残高の対GDP比を108.3%にまで引き下げることを目標に掲げているが、会計検査院がその達成に厳しい努力が必要であることを指摘したばかりだった。