仏航空宇宙・防衛部門の売上、2022年に前年比で13.6%増

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フランスの航空宇宙・防衛部門の売上高は2022年に627億ユーロに達して、前年比で13.6%増を記録した。業界団体GIFASが4月27日の会合で明らかにした。同部門の輸出額は409億ユーロ(12%増)、貿易収支は260億ユーロの黒字で、高級品や食料品を上回り最大の貿易黒字部門としての地位を維持した。売上高の内訳は、民間部門が22.8%増の435億ユーロで全体の69%を占め、防衛部門は1.7%減の192億ユーロ。
売上高は新型コロナウイルス危機前の2019年に達成した743億ユーロを下回ったものの、受注額は658億ユーロにのぼり、2019年の619億ユーロを上回った。2020年には309億ユーロに低迷していた。2022年には特に防衛部門の受注が好調で、前年比44%増の396億ユーロを記録。受注全体に占める割合が60%に達して、民間部門(18.2%増、全体の40%)を上回った。2019年には防衛部門のシェアは26%、民間部門が74%だったが、関係が逆転した。
GIFASのフォーリー会長(航空機大手エアバスのCEO)は、2022年を回復の年だったと形容し、中国のゼロコロナ政策の終了などが追い風となって航空輸送が回復したことも手伝い、受注が2019年並に回復したことを歓迎しつつも、サプライチェーンの混乱による生産面の困難はまだ続いており、供給が需要に追いついていない状態だと総括した。会長は、原材料の調達難、エネルギー価格の高騰、物流の混乱などが生産を圧迫する状況は2024年まで持続し、新型コロナウイルス危機からの完全な回復には5年近くを要すると判断している。
なお、人手不足を解消するため、GIFASの加盟企業は2023年に合計で1万8000人を無期雇用契約で新規採用する予定。これは前年並み。7000人の非正規雇用も含めると2万5000人ほどを新規採用する見通しで、業界全体の従業員数は20万人に達し、2019年並に回復する。