政府、年金改革の骨子を公表

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ボルヌ首相は10日、年金改革の骨子を公表した。定年年齢を62才から64才に引き上げることを決めた。
定年年齢(年金受給開始の権利が得られる年齢)は現在、満62才だが、これを2023年9月より、毎年3ヵ月ずつ引き上げる。2027年には63才と3ヵ月に、2030年には64才にまで引き上げられる(1968年生まれから64才に)。政府は当初、65才への引き上げを目指していたが、これを64才までの引き上げに緩和した。
年金拠出期間の延長は加速される。現在、2014年の法改正により段階的な延長の途上にあり、2035年までに43年間(172四半期)まで延長されることになっていたが、これを2027年に前倒しで実現する。半面、拠出期間の不十分を理由にした年金支給額の減額措置が適用されない年齢は、従来のまま67才に据え置かれる。
他方、年金拠出期間が十分な人の年金支給最低保証額が、法定最低賃金(SMIC)の85%に設定される。現在は月額1200ユーロ(諸税込み)ということになる。最低保証額は毎年、インフレ率並みに改定される。最低保証額は、新規の受給者だけでなく、既存の受給者にも今年から適用される。
若い時から就労を開始した人を対象とした早期退職制度は適用が拡大される。現在は16才以前に就労を開始した人が対象だが、これが18才以前に就労を開始した人に拡大され、拠出期間44年を条件に、定年年齢より4才早い退職を認める。育児休暇を取得した女性には、4四半期を限度に育児休暇期間を年金拠出期間として算定する。
就労条件が厳しい人については、C2Pと呼ばれるポイント制度による各種支援を受けられる対象者を増やすと共に、健康診断の機会を増やし、就労継続が困難と認められる場合には早期退職を認める。
年齢層の高い従業員の雇用維持に関する評価尺度を導入し、従業員数300人超の企業についてその数値の算定と提出・公表を義務付ける。従業員数1000人超の企業については2023年より公表を義務付ける。
退職者が就業を再開した場合、年金の受給額の引き上げをもたらす実績として考慮される。60才からパートタイムに移行して年金と勤労所得を両取りできる制度については、公務員部門にも適用を広げる(62才から)。
ボルヌ首相が発表した改革の骨子について、労組は強い反発の念を表明。19日(木)に合同で抗議行動を展開することを明らかにした。デモとストが行われる。