マクロン大統領、今秋に年金改革を決定する方針示す

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政労使が参加する独立調査機関「年金方針評議会(COR)」は14日に年金制度収支の長期予測を採択する。長期的に赤字が続くとの内容になる。これを前に、マクロン大統領は12日、記者団との懇談の機会に、年金改革を今秋にも成立させて、2023年夏より施行する意欲を示した。
年金収支は2021年に9億ユーロ近くの黒字に転じた。2020年には、新型コロナウイルス危機の影響で、赤字が180億ユーロ(対GDP比で0.8%)まで増大していたが、2021年には一転して、雇用拡大が本格化し、保険料収入が予想外に増加したことから収支が改善した。2022年にもこの傾向が続き、収支は32億ユーロの黒字(GDP比0.1%)を記録する。ただし、その後は恒常的な赤字に転じ、2032年までの期間に、赤字幅は対GDP比で0.5%から0.8%の間で推移する。予測には採用する前提に応じて幅が出るが、2032年時点の赤字は、125億-200億ユーロ(GDP比で0.5-0.8%)に達する。
マクロン大統領は、大統領選挙時に、定年年齢(満額受給が可能になる退職年齢)を62才から64-65才へと引き上げる方針を示していたが、その後は年金改革について多くを語っていなかった。改革にはこのほか、年金拠出期間の延長という選択肢もある。いずれにしても労組の反発を招くのは必至で、今秋にかけて年金改革は新たな火種となりうる。