欧州が新型コロナウイルスの感染第5波に見舞われる中で、フランスでも感染者数が増えている。11月10日までの1週間では、人口10万人当たりの新規感染者数が1日平均で98.3人まで増加。警戒域である50人の2倍近くの水準まで達している。地域別にはかなりのばらつきがあるが、最も低いオーブ県で38.4人、最も高いオートコルス県では179.4人に上る。常態化に伴い人々が接触する機会が増える中で、気温が低下して屋内に集まる状況が多くなり、これに予防行動の風化も加わって感染が顕著な拡大傾向を示していると考えられる。一部の欧州諸国では感染拡大が特に顕著であり、それに比べるとフランスの状況は良好だが、その理由としては、まず、75%近くとかなり高めの接種率(2回接種済み)が挙げられる。特に、フランスでは他国よりも遅れ気味でワクチン接種が進められたことから、感染を媒介しやすい若い世代の人を中心に、接種から日の浅い人が多く、免疫力が特に高いことが幸いしていると考えられる。ただ、ワクチンの効力は時とともに薄れてゆくため、政府は50才以上について3回目接種を行う(最後の接種より6ヵ月後以降)ことを既に決めたが、専門家らからはこれを30才以上にまで拡大するべきだとする声も上がっている。また、新型コロナウイルス感染症に加えて、流行性気管支炎と、季節インフルエンザの流行が本格化する兆しを見せており、これらが重なった場合に、病院の対応力が不十分になる懸念も生じている。
新型コロナウイルスの感染拡大が特に目立つオランダでは、政府が13日付で部分的な制限措置の再導入に踏み切った。バー・レストランとスーパーマーケットは毎日20時で閉店とし、必需品以外を取り扱う商店は18時を閉店時間とする。可能な場合にはリモートワークへの移行が義務付けられ、リモートワークへの移行ができない職種については、衛生パスの提示を従業員に義務付ける権限が使用者に付与される(法令の改正が必要)。私的な会合は4人を上限とし、家族に感染者が出た場合、全員に隔離が義務付けられる。「衛生パス」の提示が必要ではない場所においては、1.5メートルの距離の確保が求められる。大規模イベントは1250人を上限とし、「衛生パス」の提示を義務付け、18時までの終了が求められる。高等教育においては75人が上限となる。政府の発表には国民の一部が反発しており、抗議行動も展開された。
同じく感染拡大が目立つオーストリアでも、15日より非接種者を対象にした外出制限が導入された。非接種者は、必需品以外を扱う商店への入場が禁止され、クリスマス市を訪れることも禁止される。就労は検査陰性を条件に認められる。散歩・スポーツなどの目的での外出には制限は加えられない。