EU共通の衛生パス、7月1日に使用開始

欧州連合(EU)は7月1日、域内共通の「衛生パス」を導入した。正式名は「EU Digital COVID Certificate」で、1)新型コロナウイルスワクチンの接種を受けた人、2)新型コロナウイルス検査で陰性の人、3)新型コロナウイルスに感染して回復した人、の3種類が発給の対象となる。これを国境で提示することで、域内での越境移動が容易になり、観光業の回復に寄与することが期待されている。衛生パスはまずEU加盟27ヶ国で導入され、スイス、リヒテンシュタイン、アイスランド、ノルウェーにも拡大される。発給は各国の当局が行う。1日の時点では、アイルランドがサイバー攻撃を受けて共通ポータルサイトに接続できず、26ヶ国のみでのスタートとなった。また、EUは英米などとも、衛生パスの相互承認に向けて協議を進めている。
検査の種類(PCR検査以外に迅速抗原検査も認めるかどうか)や、ワクチンの種類(EUの医薬品当局が正式に承認したワクチン以外のワクチンを認めるかどうか)などについては、各国に裁量権がある。EUとしては、PCR検査と迅速抗原検査の双方を受け入れて、前者は入国前の72時間以内、後者は48時間以内を条件とすることを推奨している。またワクチンについては、スプートニクV、シノファーム製ワクチン、コビシールド(インドのSIIがライセンス生産しているアストラゼネカのワクチンで、特にアフリカなどで使用されている)などの接種を受けた人にも発給するかどうかが問題となる。
衛生パスはQRコードで読み取れる電子証明書の形態で発行され、スマホなどの電子端末で表示することも、プリントして紙媒体で提示することもできる。
衛生パスの所持者は原則として、移動先の国で追加検査や隔離を課されないが、移動元の国で感染リスクが高い場合などは、追加的な制限措置を導入する権利が加盟国当局に認められる。その場合、導入の48時間以上前に欧州委員会と他の加盟国に通達する必要がある。このような例外的措置は、特に感染力が強いデルタ株の脅威に対処するために適用される可能性が強い。例えばドイツは、デルタ株が支配的になったポルトガルをリスク国として認定し、ポルトガルからの渡航を実質的に禁止する対応をとっている。
なお、衛生パスはEU共通とはいえ、各国で実施戦略が異なり、使用されるアプリなども多くの種類があり、航空輸送業界団体は、空港でのチェックに時間がかかると苦情を申し立てている。