マクロン仏大統領は5月5日、パリ・ソルボンヌ大学を会場に、「Choose Europe for Science」と題したイベントを開催。世界の研究者の誘致に積極的な姿勢をアピールした。欧州委員会のフォンデアライエン委員長も出席し、誘致策を公表した。
マクロン大統領は、トランプ米政権が学術予算を削減し、特に気候変動関連の研究活動を白眼視していることを念頭に、迫害を受けている世界の研究者らをフランスと欧州で迎え入れるとの姿勢を示した。大統領はこのために1億ユーロを投じると予告。この金額は、既存の公的投資プラン「フランス2030」の予算を転用する形で確保される。
欧州委のフォンデアライエン委員長はその傍らで、2025-27年の期間について5億ユーロの新規予算を研究者誘致に振り向けると予告。ERC(欧州研究会議)の枠内で、誘致した研究者に7年期限で補助金を支給し、長期的な見地から安定した研究環境が確保されるようにすると約束した。
マクロン大統領は、研究者にとって「欧州が脅威に対する避難所になる」などと言明し、「すべての自由な精神」に対して欧州に集まるよう呼びかけた。ただ、合計で6億ユーロという額ではおよそ不十分であるという声も聞かれる。