欧州委のブルトン委員(フランス代表)が辞任

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欧州委員会のフォンデアライエン委員長が進めている次期欧州委の組閣人事に絡んで、フランス代表のブルトン委員が16日に辞任すると発表した。即時に辞任し、次期欧州委には残らないと明らかにした。ブルトン委員は、辞任に当たり、フォンデアライエン委員長の采配を公然と批判。フランス政府はそのすぐ後に、次期委員としてセジュルネ外相を指名すると発表した。
フォンデアライエン委員長は先の欧州議会選挙で一応の勝利を収め、欧州委委員長への再選を決めていた。欧州委は、全加盟国が各1名を指名して選ばれる委員により構成されることになっているが、この組閣人事は遅れている。委員長は男女同数の実現にこだわり、各国に男性1名と女性1名の2人の候補を指名するよう求めたが、ほとんどの国がこれに従わず、委員長と各国の間の関係がぎくしゃくする場面もあった。それとは別に、フランスのマクロン大統領は、かなり早い時点でブルトン委員の再任を提案。従来の域内市場担当のほかに、競争力など担当範囲を広げる処遇をフランス側は求めていたが、フォンデアライエン委員長は数日前にマクロン大統領と電話会談した際に、ブルトン委員の担当範囲を当初案より狭める考えを伝えて、対立が生じていたという。ブルトン委員は16日に自ら辞任を発表した際に、自身ではない候補が担当範囲を拡大して委員に就任することで政治的な取引がなされた、と言明し、これを辞任の理由と説明した。フォンデアライエン委員長とブルトン委員の間柄は以前から良好ではなかったといわれている。
次期欧州委の顔ぶれは17日にも発表される予定。この際に、新委員の権限の詳細なども明らかになる。