欧州委のブルトン委員、エンジン車の販売終了の「見直し」に言及

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欧州委員会のブルトン委員(域内市場担当)は11月3日までに公表されたインタビューの中で、エンジン車の新車販売を2035年に禁止する措置について、柔軟な姿勢で臨む考えを示した。2026年に「見直し」がなされる予定であることを挙げて、必要な調整を行うと説明した。
エンジン車の新車販売を2035年に欧州連合(EU)域内で禁止する方針は、先に欧州議会とEU理事会が最終的に決定した。これについて、ブルトン委員は、域内で60万人の雇用が破壊される恐れがあることや、バッテリーの製造等で原材料調達に困難が生じる恐れがあること、また、充電器の整備が遅れていることなどの問題点を挙げて、こうした問題を乗り越えるための調整を行うため、関係者を幅広く集めた作業部会を設置すると予告。3ヵ月に1度の頻度で作業部会の会合を開き、問題点を割り出し、必要な調整を行うと説明した。ブルトン委員は、2035年という日程を守るため全力を尽くすと述べたが、その一方で、変革の規模の大きさを考えると、2026年かそれ以前に、修正を加える必要が生じるかもしれない、と言明した。
この発言は、欧州委の委員が決定事項に疑念を挟んだものとも受け取られ、自動車業界にも当惑の念を示す向きがある。ブルトン委員はまた、エンジン車を域内で製造し、輸出することは2035年以降にも可能だとし、欧州がエンジン車の分野での産業基盤を失わずに、輸出市場における地位を保つことが望まれるとも述べた。
ブルトン委員はフランス出身だが、やはりフランスのボーヌ運輸担当相は6日、国内のテレビ・ラジオ局とのインタビューの中で、ブルトン委員の発言をなぞる形で、見直し条項の存在や、エンジン車輸出継続の可能性に言及。代替燃料の使用などの技術的可能性を挙げて、エンジン車の販売継続の可能性を探ることに賛意を表明した。