総選挙後のパリ株式市場、比較的に平静保つ

投稿日: カテゴリー: 日刊メディアダイジェスト欧州レポート

総選挙決選投票の投開票が7日に行われたが、続く8日のパリ株式市場では、代表的株価指数CAC40が終値で0.63%安を記録。比較的に小幅な低下にとどまった。先が読めない展開となったことで、市場ではしばらくは手探りの動きが続くとみられる。
選挙では、極右RNが第3の勢力にとどまり、連立与党が第2位で予想外の健闘を見せた。首位となったのは左派連合で、やはり予想外の成績を残したが、いずれの勢力も過半数には遠く及ばず、新内閣の構成がどうなるか、今後の政局運営がどうなるのかは予想がつかない状況となった。左派連合は、極右RN以上に費用高の一連の公約を掲げており、それが首位になったことは、国家財政の今後にとって懸念材料となりうる。過半数確保のめどが立たないことは、そうした「危険な」公約実現の可能性が遠のいたことを意味するが、その一方で、政局の空転が続けば、財政健全化の道筋を示すこともまたできなくなる。フランスの財政状況は欧州諸国中でもかなり悪い状態にあり、政府は9月20日までに欧州委員会に健全化に向けたプランを提出する必要があるが、これが遅れるなどした場合、フランス売りが広がる恐れがある。10年物長期金利の独仏スプレッドは、6月27日時点で82ベーシスポイントまで開き、現在は60ベーシスポイント近くまで下がっているが、市場関係者らは、今後数ヵ月間で60-80ベーシスポイント程度で推移すると予想。ただ、夏季に投機筋が動いて、仏国債に揺さぶりをかける可能性も否定できず、三すくみの政局混迷が続いて財政健全化の方向を打ち出せないなら、厳しい状況に追い込まれる可能性もある。