フランス自治体、住宅難対策で民泊抑止措置を導入

投稿日: カテゴリー: 日刊メディアダイジェスト

エアビーアンドビーに代表される民泊の隆盛で、観光都市における住宅不足が目立っている。住民用賃貸物件の減少と住宅価格高騰に歯止めをかけるため、いくつかの自治体が対策を取り始めた。
スペイン国境に位置するピレネーアトランティック県では、バスク地方市町村共同体が2023年3月1日から、住宅逼迫ゾーン(ビアリッツ市を含む24市町村)にある「セカンドハウス」を民泊として提供する家主に、従来許可の期限が切れた時点で、更新には応じず、当該住居の用途変更許可の取得を義務付けた。当該物件を「住宅」でなくする代償として、オフィス・店舗・倉庫などを住宅に転換することも義務付けた。手続きが複雑で費用もかかるため抑止効果がある。民泊提供許可を取らない家主は、観光客向け民泊より低価格で学生や転勤者向けに短期賃貸せざるを得なくなる。もともと、民泊を当て込んで物件を購入した人なら、ローンも残っているので売却するよりほかはなくなる。ビアリッツ市によると、規制の導入後に約100件が賃貸市場に戻り、住宅価格もいくらか下がったという。バスク地方市町村共同体全体では、民泊プラットフォームに掲載された住宅逼迫ゾーンの物件数が、2019年の約2万2000件から、2023年には1万7500件に減少した。
さらに、バスク地方で2023年に導入されたミックス賃貸(1年のうち最低9ヵ月を学生に賃貸すれば、残りの期間は観光客向け民泊として提供可能)が成功し、2024年には650件のミックス賃貸契約が締結された。
民泊規制の先駆者であるパリ市では、民泊登録数が減少を始めたという。ただし、未登録で不正に民泊を提供する事案が後を絶たないため、市は取り締まりチームを発足させた。近隣住民の通報やプラットフォーム上の不審な広告を基に、現場を訪問して不正民泊を追放する。