メテオ・フランス(気象協会)は12月10日、気候変動による国内の気象状況の変化に関する報告書を公表した。報告書は、世界の平均気温の上昇幅が、2100年時点で3度(産業革命前の水準との比較)になるとする前提に基づいて、本土の全域を対象に、温度と降水量の推移について予想した。3度という上昇幅は、各国が温室効果ガス排出量の抑制に向けて努力を強化しないと仮定した場合に予測されるものだが、これだと、仏本土全体の上昇幅は4度になる。2100年時点の年間平均気温を地域別にみると、パリでは、現在の南仏モンペリエ市(14.2度)程度にまで上昇。フランスの南半分は、現在のスペイン・アンダルシア州(18度強)程度の水準まで上昇する。全国平均気温の上昇幅は、2030年時点で2度、2050年時点で2.7度となる。
地域により上昇の勢いは異なり、南東地方と山岳地方で上昇幅は大きく、英仏海峡に面した地域では上昇幅は小さい。夏季と冬季では、夏季の方が、上昇幅が大きくなると予想される。通年の降水量については大きな変化は出ない見込みで、国土の4分の1に相当する北東地域ではわずかに増加し、逆に、南西地方ではわずかに減少するという。ただし、季節による変化はそれよりも大きく、冬季の降水量は、アルプス山脈及びピレネー山脈を除いて今よりも多くなる。気温上昇に伴い、地下水系にまで至らずに蒸発する水分も今より多くなる。
政府は専用のポータルサイト(https://www.drias-climat.fr/)を通じて、地域ごとの予測等のデータを公表する。メテオ・フランスは、気候変動が熱波や洪水など極端な気象現象の発生に及ぼす影響について検討した第2次報告書を1月中に発表する予定。