中国政府、EU産ブランデーへの追加関税を決定

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中国政府は8日、欧州連合(EU)産のブランデー(果実酒由来の蒸留酒)を対象にした追加関税を暫定的に導入すると発表した。11日付で適用を開始する。
中国政府は、EU産のブランデーが原価割れの価格で中国に輸出され、現地の競合を圧迫していると主張し、去る1月より調査を進めていた。その一方で、EUは4日に、中国製EVを対象にした反ダンピングの追加関税導入を承認したばかりで、中国政府は、その報復として準備していたカードを早速切ったものと考えられる。
中国政府が指定した製造者は、11日より、対中輸出に係り、追加関税相当の保証金を税関に納付することを求められる。10社程度の製品が対象となるが、フランスのコニャック(ぶどう酒から得られる蒸留酒)への影響が最も大きい。ペルノ・リカールのマーテルは30.6%、LVMHのヘネシーは39%、レミーコアントローのレミーマルタンは38.1%、その他の対象製品は34.8%の追加関税の適用を受ける。
コニャックをはじめとする欧州産の蒸留酒にとって中国は重要市場で、例えばペルノ・リカールは全社売上高の1割を中国で達成している。しかし、このところは中国の全般的な消費冷え込みを背景に中国販売は低迷しており、マーテルの場合、2024年6月期に10%の販売減を記録していた。既に厳しい市況の中で追加関税が導入されると打撃は大きくなる。仏メーカー各社は、シロ判定を得ることに期待して、調査に協力し、費用をかけてデータを渡したが、中国側による業界の詳細な把握を許しただけで制裁を受け、通商摩擦の犠牲になったという苦い思いが業界には広がっている。