フィリピーヌさん殺害事件:不法移民の容疑者逮捕、司法の責任追及の声も

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パリ西部のブーローニュの森で21日に女子大生フィリピーヌさん(19)が遺体で発見された件で、容疑者の男性が24日、スイスのジュネーブで逮捕された。強姦罪で有罪判決を受け、現在は不法滞在者であったことが報じられ、物議を醸している。
逮捕されたのは22才のモロッコ人男性。報道によると、同容疑者は17才だった2019年に観光ビザでフランスに入国。その直後に強姦容疑で逮捕され、2021年10月に禁固7年の有罪判決を受けた。規定の最低限の刑期を終えた後に仮出所し、違法滞在者として収容施設に移送された。当局は本国のモロッコへの送還手続きを進めたが、旅券を持たない者を国外退去処分とするには、本国から通行証を得る必要があり、手続きが遅れる中で、勾留延長の期限がほぼ尽きた9月初頭に、条件付き(警察署への定期的な出頭命令を伴う)で釈放されていた。出頭命令に従わなかったため、当局は指名手配で行方を追っていたが、その間に犯行に及んだことになる。容疑者は、性犯罪者のリストに掲載されており、犯行後に被害者のカードを使って現金を引き出した時の映像により身元が特定され、逮捕に至った。当局はスイスに身柄の引き渡しを請求すると共に、殺人、強姦、詐欺などの容疑で容疑者認定を行った。
今回の事件について、極右勢力などは、国の対応に落ち度があり、犯罪者を野放しにしたのが原因だなどとして、移民排斥の主張を展開する材料としている。就任したばかりのルタイヨー内相も、法令上のしかるべき手段を整備して万全の対応を可能にすることに意欲を示した。