ルメール経済相、国鉄SNCFのファランドゥCEOを呼び出し

投稿日: カテゴリー: 日刊メディアダイジェスト

ルメール経済相は2日、先に国鉄SNCFで締結された労使合意を問題視する姿勢を示し、SNCFのファランドゥCEOを呼び出して説明を求めると明らかにした。
SNCFは先に、退職間際の職員の待遇に関する労使合意を締結していた。SNCFはある種の早期退職制度を採用しており、退職間際の希望者に対して、一定の給与水準を保障しつつ、就労を免除している。現行制度では、退職前の12ヵ月について、最後の6ヵ月は60%の給与の支給を受けつつ就労が免除されることになっている。来年1月に施行される新たな合意では、これが、18ヵ月間(最後の9ヵ月について75%の給与が保障される)とより長く、保障も大きい制度に改められる。車掌や就労条件が厳しい人には、さらに手厚い保障が適用される。
全期間を通じて、年金保険料を含む社会保険料は満額が会社側負担となる。この合意については、定年年限の段階的な引上げを柱とする年金改革を実質的に無効化する内容だとする批判の声が一部にあり、ルメール経済相は、SNCFに対する不公平感を強めている特に右寄りの有権者層に多いそうした批判の声に配慮する目的で、今回の「呼び出し」を決めたものと考えられる。ただし、会社組織であるSNCFの労使関係に政府として介入する手段は限られている。
なお、ファランドゥCEOの任期は5月12日で終了する。ファランドゥCEOは67才で、年齢上限である68才に近づいており、政府が特例措置を認めない限り再任はない。決定権はマクロン大統領にあるが、報道によれば、数ヵ月間の任期延長を決めて、パリ五輪を終えた後に後任の選定を進める公算が高いという。