教皇の移民支援メッセージの真意

投稿日: カテゴリー: アライグマ編集長の日々雑感

ローマ教皇が南仏のマルセイユを訪問して、移民への支援を呼びかけた。移民や難民の遭難や悲惨な境遇を生み出したのは、そもそも神の思し召しなのでは?というナイーブな疑問はさておくとしても、カトリック教会が聖職者による未成年へのセクハラ行為の因習を知りながら長年放置したり隠蔽してきたことを考えると、いまさらのように人道とかモラルとかを世界に向けて堂々と説く資格があるかどうか疑わしい気もするのだが、宗教団体というのは自分だけは常に正しいと信じる悪しき習性があるから、悔い改めたりすることは決してないのだろう。もっとも、(右派・極右風に言えば)不法入国する移民への支援呼びかけというのはとりもなおさず違法行為の教唆でもあるから、セクハラ聖職者への保護と整合性がないわけではない。ちなみに、イスラム問題を専門とする仏研究者ジル・ケペルはローマ教皇が移民問題に積極的に介入しているのは、今後に人口増加が見込まれるアフリカなどの南部地域において信者を獲得し、プロテスタントやイスラム教の普及に対抗するためだと分析している。なるほど、宗教同士の熾烈な市場獲得競争が展開されるなかで、欧州でのブランドイメージが悪化した老舗カトリックが巻き返しを目指しており、ボス自らが新市場開拓のためのマーケティングに乗り出したということか。そう考えるとローマ教皇の説教もすんなり理解できるから、何にでもビジネス的視点というのは重要だ。なんだ、そういうことだったのか、それならいっそ、イスラムに負けないように頑張ってほしい。アーメン。