パリ・メトロ構内のPM2.5汚染、高い濃度を確認

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国営フランス・テレビジョンが行ったパリ・メトロのPM2.5汚染状況の調査結果がこのほど発表された。汚染が外気に比べて高いことが確認された。
この調査は、CNRS(国立科学研究センター)のルナール研究部長の監修の下で、ジャーナリストがメトロの駅でサンプルを採取することにより行われた。全体で、1立方メートル当たりのPM2.5濃度は24マイクログラムとなり、世界保健機関(WHO)の勧告である5マイクログラムより5倍ほども高かった。計測は外気中でも行われたが、それとメトロ駅における濃度の差は平均で10.5マイクログラムと大きかった。この差が20マイクログラムに上った駅は全部で68駅あり、ベルビル(2番線)で差は60マイクログラムと最大で、ラデファンス(RER A線)が57マイクログラムでこれに続いた。路線全体でみると、外気との差が最も大きかったのは5号線(差が18マイクログラム)で、RER A線が17マイクログラムでこれに続いた。
全体として、外気における濃度が高いほど、構内の濃度も高く、これは汚染が連動していることを示している。構内の濃度がさらに高いのは、ブレーキ時に線路との摩擦により粒子が発生することにより説明される。発生の程度は走行する車両の古さや方式により異なる。換気施設の性能や深度なども、駅による濃度の差を生じさせる要因となっている。
基準値よりも高い汚染度について、パリのビシャ病院のクレスタニ教授(呼吸器疾患専門)は、通勤などで定期的に利用する人についてはさほど懸念はないが、1日の滞留時間が長く、それが長期に渡り続く職員らについては注意が必要だと指摘。パリ・メトロを運営するRATP(パリ交通公団)は、職員の健康障害については恒常的に調査をしているが、人口全体と比べて高いということはないと指摘した上で、汚染度が低い新型車両への更新をはじめとする設備投資を行い、改善に努めていると説明している。