国語辞典の新語、「餅」もエントリー

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国語辞典が更新の時期を迎える。ルフィガロ紙は9日付で、代表的な国語辞典「プチ・ラルース」の最新版に収録された新語について報じた。
国語辞典は毎年、9月に始まる新学年に向けて最新版を刊行するのが通例となっている。「2024年版」として刊行される「プチ・ラルース」の最新版には150の新語が収録される。その中には、やはり世相を反映した言葉が多く、グリーンウォッシングなど英語由来の言葉や、「インスタ映えする」という意味の形容詞「instagrammable」、自転車へのシフトを唱道する国際的な運動を意味する「Velorution」(自転車を意味する「ベロ」と革命「レボリューション」の合成語)、エコ不安症(Ecoanxiete)などがエントリーした。
食べ物関係では日本の「mochi」が収録されたが、その定義を見ると、いわゆる「餅」とは少々異なる。定義は「もち米のペーストを材料とする球形の小さなお菓子で、香りがついていたり、小豆のペーストが中に入っていることが多い。西洋の料理と融合して、アイスクリームとなることもある」とあり、要は我々が「大福(餅)」と呼ぶものを、「mochi」と呼んでいるわけである。この種のアイスクリームで先駆的な製品の商品名も「雪見だいふく」であるから、それをモチと呼ぶのはやはりフランス側の事情による。異文化受容において意味や概念にズレが生じるのはいつものことで、フランスなら柔道着のことを「キモノ」と称して憚らないなど例は多いが、餅の場合は、磯辺焼きのような食べ方がほとんど紹介されてこなかったことに原因があるだろう。フランスを真の意味で餅化するにはまだまだ献身的な努力が必要ではあるまいか。