暴言司会者のアヌーナ氏とC8局、350万ユーロの罰金処分に

投稿日: カテゴリー: 日刊メディアダイジェスト欧州レポート

仏ARCOM(放送行政監督機関)は9日、カナルプリュス(ビベンディ子会社)の傘下の地デジ局C8に対して、350万ユーロの罰金処分を言い渡した。シリル・アヌーナ氏が制作・司会するバラエティ番組「TPMP」において、同氏がゲストのボワイヤール下院議員(左翼政党「不服従のフランス(LFI)」所属)に対して暴言を吐くなどした件で、厳しい罰金処分を決めた。アヌーナ氏とC8の側では、処分を不服として異議申し立てを行うと予告した。
この事件では、ボワイヤール下院議員が、ビベンディの主要株主であるバンサン・ボロレ氏の批判を展開しようとしたところ、アヌーナ氏が激高して「クズ野郎」などと罵倒し、言葉を遮るなどした。ARCOMはこの事件について、ゲストの権利を侵害し、その名誉と評判を損なう言動があったと認定し、厳しい罰金処分を決めた。また、下院議員によるボロレ氏への批判表明を意図的に妨げたことを、情報の誠実性と独立性の確保に関する義務への違反に相当すると指摘し、局側に改善を求める催告を行った。
アヌーナ氏が問題を起こしたのはこれが初めてではなく、複数の事案で制裁も受けている。同氏はそれでも番組でポピュリズム的な意見表明を続けている。カナルプリュスの傘下局では、ニュース専門地デジ局のCNewsでも、右翼の論客エリック・ゼムール氏を重用する(同氏はその後極右政党「ルコンケット」を設立)など、右寄りの傾斜が目立つ。ビベンディを経由してカナルプリュスへの影響力を行使するボロレ氏が、アヌーナ氏をメディア戦略のキーパーソンに据えているという見方もあり、問題続きでもアヌーナ氏は安泰という状況が続いている。