仏自動車大手ルノーは8日に投資家向け会合を開き、組織改革について公表した。EVとエンジン車・ハイブリット車の子会社2社を設立する方針を確認した。
EVを担当する子会社Ampereは、フランス国内の1万人の従業員(主に北仏に整備するEV部門の拠点群に勤務)を擁し、2031年にはルノー・ブランドの100万台を生産することを目指す。向こう8年間で年間30%を超える成長率の達成を目標に掲げ、営業収支は2025年に黒字化し、2030年時点で10%を目指す。Ampereは2023年下半期以降に上場する計画で(時価総額の目標は公表されていないが100億ユーロとの数字が取り沙汰されている)、ルノーは過半数を大きく超える株式を維持する方針だが、上場は投資家を受け入れる土台を整える狙いがある。ルノーはこの機会に、投資家候補として米クアルコム(半導体)の名前を挙げた。日産(最大15%を出資と噂されている)については、出資が「検討中」であるとのみ説明した。
エンジン車・ハイブリッド車とトランスミッションを手掛ける子会社「Horse」は、さしあたり中国の吉利(Geely)との折半出資合弁として発足。資産の持ち寄りによる現物出資で発足し、将来的に新たな出資者を受け入れるとした。サウジアラムコの名前が取り沙汰されていたが、ルノーは具体的なパートナーの名前は示さなかった。Horseは従業員数1万9000人、年商は発足時で150億ユーロに上る。ルノーは、ダチア(格安ブランド)や商用車などを束ねた事業部門「Power」を置き、Horseはその子会社という位置づけになる。これ以外で、Mobilize(サービス)、アルピーヌ(スポーツカー)、The Future is Neural(循環経済)などの子会社を、それぞれ独立した形で運営する。
ルノーは財務面の目標として、営業利益率を2025年に8%超、2030年に10%(2022年には5%)、フリーキャッシュフローを2023-25年平均で年間20億ユーロ超、2026-30年平均で30億ユーロ超、などを掲げた。配当率は段階的に35%まで引き上げると約束した。市場の反応は冷ややかで、ルノーの株価は同日終値で3%安を記録した。