英国の首相交代

投稿日: カテゴリー: アライグマ編集長の日々雑感

英国のトラス首相が最短在任期間を更新して辞任した。首相にしても、解任されたクワルテング前財務相にしても、減税措置を打ち出すのはよいとしても、なぜあのような不用意な形で提案したのか、未だに謎が残るが、ブレグジット決定以来の数年間の英国の政界のあたふたぶりを見ると、ジョンソン方式とでもいうのだろうか、まず、えいやっと決断してから泥縄式に実行方法を考え始めるという行動様式がすっかり定着した感もある。ところで、次の首相に就任するスナク元財務相は、インド系としても、ヒンズー教徒としても初の首相となり、ダイバーシティ重視の観点からは悪い選択ではないが、同じくダイバーシティ重視の観点からは悪い選択ではなかったトラス首相が英国にもたらした災厄を思うと、そんな基準はさして重要ではないことが改めて認識される。トラス氏は別に女性だから選ばれたわけではないし、スナク氏も別に非白人だからこそ選ばれたわけではなかろうが、毎回「女性首相」「移民系首相」などと些末な側面が報道でクローズアップされるのは奇妙な話で、これが何かの進歩だと錯覚している人々が多いなら、困ったことである。