アルテミス、メゾン&ドメーヌ・アンリオを吸収合併

投稿日: カテゴリー: 日刊メディアダイジェスト欧州レポート

仏ピノー一族(高級ブランド大手ケリングを保有)の持ち株会社アルテミスは9月30日、ワイン部門アルテミス・ドメーヌを、同業メゾン&ドメーヌ・アンリオと合併させると発表した。アンリオの株主であるアンリオ一族が、合併後のアルテミス・ドメーヌの25%株式を取得し、アンリオのドラルジエールアンリオ社長が、アルテミス・ドメーヌの監査役会会長に就任する。アルテミス・ドメーヌのCEOは引き続きアンジュレ氏が務める。合併の金銭的な条件等は明らかにされていないが、報道によると、評価額は7億5000万ユーロに上るという。
アンリオはシャンパンの同名ブランドで知られるが、そのほかに、1995年に買収したブルゴーニュ・ワインの仲買・醸造元であるブシャール・ペール&フィスを保有する。ブシャールは130ヘクタールのぶどう畑を保有。うち12ヘクタールがグランクリュ(特級)分類、74ヘクタールがプルミエクリュ(一級)分類となっている。アンリオの資産にはこのほかに、シャブリの「ウィリアム・フェーブル」と米オレゴン州のボーフレールが含まれる。アルテミスは2017年にブルゴーニュのクロ・ド・タール(グランクリュ)を2億5000万ユーロで買収し、ブルゴーニュ・ワインの分野でも、ライバルのアルノー一族(高級ブランド大手LVMHを保有)と争っている。アンリオの買収でも、アルノー一族と競い勝ったものとみられる。
大物実業家によるブルゴーニュ・ワイン関連の買収としては、ピノー一族とアルノー一族のほかに、マルタン・ブイグ氏(建設大手ブイグ・グループを率いる)が2018年に買収したアンリ・ルブルソーなどがある。ブルゴーニュ・ワイン連合会のユベール会長は、フランス資本にとどまるという点では歓迎すべきなのかもしれないが、価格が吊り上がり、大資本家でなければ買収できない状況になれば、一族内の継承が困難になると懸念を表明している。