政府、エネルギー価格抑制策を発表:来年には小売価格が15%上昇へ

投稿日: カテゴリー: 日刊メディアダイジェスト欧州レポートエネルギー・環境レポート

ボルヌ首相は14日、2023年年頭以降のエネルギー価格高騰対策について発表した。価格抑制策を維持するが、その規模は現在より縮小するとした。電力及びガスの小売価格が年頭以降に15%引き上げられることになる。
政府は2022年末まで、ガス価格を据え置き、電力価格の上昇率を4%に抑えることを決めている。現行の抑制幅を維持するには莫大な費用がかかることから、規模の縮小を決めた。ガスの規制料金は1月に、電力規制料金は2月に、いずれも15%引き上げられる。首相はこれについて、実勢価格を反映させるなら、価格は120%上昇することになるとして、価格抑制策による効果を強調。また、欧州の諸外国と比べて、フランスでは小売価格の上昇が低めに抑えられているとも指摘した。
首相は同時に、エネルギー価格の上昇に苦しむ家計を支援する目的で、「エネルギー小切手」(エネルギー製品の購入に充当できるバウチャー)の特別支給を行うと予告した。2023年初頭に、家族状況に応じて100ユーロまたは200ユーロ相当を一括支給する。対象世帯数は1200万世帯で、これは全人口の4割に相当する。通常の「エネルギー小切手」の受給世帯数は600万で、特別支給はかなり幅広となる。
政府はこのほか、来年年頭以降に、勤労者向けの自動車燃料購入支援策を導入する可能性を示唆。原油価格の推移の状況を見定めたうえで、必要があれば検討すると説明した。
エネルギー価格抑制策に伴う国の費用は450億ユーロに上るが、その一部は特別収入(再生可能エネルギー発電事業者が電力価格高騰に伴い国に納めるマイナスプレミアム200億ユーロなど)で相殺され、正味の費用は160億ユーロ程度(ガスが110億ユーロ、電力が50億ユーロ)になるという。「エネルギー小切手」の費用は18億ユーロで、こちらは2022年の未消化予算を充当する。