2021年8月2日にバイオエシックス法が公示されてからちょうど1年間が経過した。同法は、体外受精を受ける権利をすべての女性に保障する旨を定めている。同年9月の施行以来の最初の集計結果がこのほど公表された。それによると、同法の対象となる人(女性の同性カップル、独身女性)による1万2300件の初回診察がなされた。この数は、事前の予測(最高でも年間4000件)を大幅に上回っており、予想以上に大きな社会的な要請が存在していたことが確認された。また、初回診察を受けた人の53%が独身女性だった。同法の制定はもっぱら、女性の同性カップルを念頭に置いてなされたが、実際の需要は独身女性の方が多いこともわかった。
初回診察から精子提供に至るまでの待ち時間は、同法の施行前では12ヵ月程度だったが、2022年3月末時点での待ち時間は推定で14.8ヵ月にまで延びている。これは、精子の不足よりも、施設の対応力や必要な人員の不足によるところが大きいという。両親となった同性愛者が作る団体APGLはこれについて、国内の体外受精の体制が不十分であるため、外国での体外受精を選択する人が多いという結果を招いていると問題視している。