仏ソフト業界、新型コロナ危機を超克

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仏ソフト業界上位100社番付であるTruffle 100によると、2021年には同業界の売上は130億ユーロに達し、前年比での伸率は10%に達した。前年の伸率は新型コロナ危機により6.4%に留まっていた。Truffle 100を発表したTruffle Capitalによると、2021年の成長率は2018年以来の高率となった。
2020年には、新型コロナ危機の直撃を受けた業界(航空宇宙、運輸、製造業など)が、デジタル移行プロジェクトやアウトソーシングを取りやめ/先送りにし、仏ソフト会社10社中3社が、政府保証付き融資(PGE)を利用した。また、100社中33社が売上減に見舞われた。2021年には、売上減を記録したのは100社中3社だけだった。
Truffle Capitalでは、危機克服のため企業がイノベーション及び合理化を迫られ、デジタル移行に拍車がかかったと見ているが、そのような傾向は大手に有利に働いており、番付50位の企業と番付100位の企業の売上の差は2600万ユーロに広がったと指摘している。また、番付1位のダッソー・システムズが同社だけで業界売上全体の3分の1以上を占めるという状況が続いている。このような二極化は大手による中小企業の買収も促しており、2021年には、Cegidが2社の買収を行った。ただし金額ベースでは、大手による中小企業の買収の波は2008年や2014年、あるいは2019年に及ばない。
このような活況にかかわらず、仏ソフト業界の採算性は人材確保及びR&D費用により低下しており、利益率は2020年の9.8%から9.1%へと低下し、2019年来で最低となった。しかしながら、業界では楽観的な見方が一般的であり、100社中50社強が2023年には少なくとも11%の成長を見込んでいる。また、4社中3社は新規雇用を予定している。