仏アベロン県で自動車用アルミダイカスト部品を製造するSAMをめぐり新たな展開があった。同社の工場を買収することを計画していたMH Industriesが、ルノーから支援を得られないことや、必要なファイナンスを完全には確保できなかったことを理由に、計画の断念を明らかにし、SAMの元社員や、地元政界などに新たなショックを与えた。
SAMはルノーを唯一の顧客とする部品メーカーで、2019年12月に会社更生法の適用を受け、事業の継続を可能にする買収者を探してきたが、2021年7月にSAMの元幹部であるパトリック・ベリティ氏が経営するAlty-Sifa社が提案した買収計画をルノーが支持しなかったため、事業停止に追い込まれた。その後、仏金属部品メーカーのMH IndustriesがSAMの工場を買い取って事業を再開することを提案し、ルノーに、最初の発注を通じて計画を支援するよう要請していた。地元のオクシタニー地域圏も120万ユーロの補助金などを提供して、この計画を支持してきた。しかし、ルノーとの交渉は難航したまま6月末に期限を迎え、MH Industriesは1ヵ月の猶予を得て、交渉を継続したが、物別れに終わったため、ついに匙を投げた。