サイバー保険、大企業の解約が増加

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仏企業のリスクマネジャーが作る団体AMRAEは6月14日、サイバー保険の加入状況に関する調査結果(大手企業250社を対象)を発表した。加入状況に陰りが出ていることがわかった。
加入率は2021年に84%となり、前年より4.4ポイント低下した。前年からで11社が契約を解除したという。大手企業の場合、サイバー攻撃によるリスクは大きく、2021年には、1000万ユーロを超える損害を被った企業の数が4社を数える。そうした中でサイバー保険への加入が後退した理由としては、契約の内容や保険料が厳しくなったことが考えられる。2020年にはサイバー攻撃が増え、サイバー保険業界の損害率は167%まで跳ね上がり、赤字となった。各社はこのため、保険料の引き上げ(96.8%増)を行う一方で、限度額を引き下げ、免責金額を引き上げた。免責金額は平均で400万ユーロに上ったという。保険会社の収支は改善した(損害率が88%に)が、加入者側では、加入するだけの価値がないという判断が一部で広がり、解約が広がったものとみられる。AMRAEでは、大企業からの保険料収入が全体に占める割合が、サイバー保険に関しては82%と特に高いことを挙げて、大企業の離脱が続けば、保険として立ち行かなくなると問題視している。