ルノー、日産との協力強化に向けて協議

投稿日: カテゴリー: 欧州自動車・モビリティ情報

ルノーのスナール会長とデメオCEOは数日間の日程で横浜にある日産自動車の本社を訪問し、日産および三菱自動車の経営陣と協議した。CEOにとっては、2020年7月の就任以来で初の訪日となった。
スナール会長とデメオCEOは日産・三菱自とのアライアンスの強化に向けた3社間の協力に関する一連の共同プロジェクトを提案したが、5月16日の会合で、日産側からはむしろ、ルノーとの資本関係の見直しに関する質問が繰り返し出された。その背景には、株式時価総額が70億ユーロ、年間生産台数が270万台のルノーが、株式時価総額が2倍で、年間生産台数が400万台の日産自動車の株式の43%を保有しているという不均衡がある。
スナール会長はこれについて、目下の課題では全くないと言明し、両社の株式時価総額が本来の水準にまで完全に回復するまでは、検討すべきではないと説明した。会長は目下の課題は、具体的な協業に注力することで、アライアンスを強化し、アライアンスが3社に利益をもたらすことを市場に向けて証明することだと強調。デメオCEOも、具体的なテーマについて協議することが肝心であり、空想的な話をしてもしかたがないと述べた。
デメオCEOは15件ほどの共同プロジェクトを日産に提案したが、一部は、ルノーよりも日産に利するところが大きいと強調した。例えば、ルノーのドゥエ工場で2024年から「日産マイクラ」の後継となる小型EVを生産するプロジェクトをあげた。また、三菱自動車が欧州から撤退せずに済むように、2種類のルノー車を三菱自動車のブランド名で欧州において販売することを可能にするプロジェクトも一例。デメオCEOはアライアンスのありかたを根本から考え直すことが重要だとして、協力の加速を望んでいることを強調した。
一連のプロジェクトのうちでは、ルノーが予定するEV事業の分離計画が日産との協議の焦点となった。デメオCEOは14日、4時間を費やして、様々な関連資料を提示しつつ、この計画について日産の経営陣に説明した。日産側は多くの質問をしたが、この計画に合流するかどうかについては態度を明らかにしなかった。
日産の内田CEOは16日夜、計画を検討し、どのように支援できるか、どのような価値をもたらすかを考えると述べたが、日産側でも同様の事業分離を行う可能性は否定した。
日産は、電動化が急速に進む欧州市場に集中しているルノーにとってEV事業分離は適切かも知れないが、より多様な地域で事業を展開している日産にとって事情は異なり、特に米国や東南アジアでは電動化の動きがより緩やかであることを指摘して、EV事業を分離することの意味合いは薄いと判断している。スナール会長は、日産に計画への参加を強制するつもりは全くないが、参加したければいつでも受け入れる用意があるとしている。