ユニバーサル・ミュージック、アムステルダム市場で上場

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仏メディア大手ビベンディ傘下の大手レコード会社、ユニバーサル・ミュージックが21日、アムステルダム株式市場に上場した。上場は新株発行が伴わない直接上場の形で行われ、取引開始価格は18.50ユーロに設定されたが、株価は取引開始直後に38%近くの大幅上昇を記録し、その後も25ユーロ近くの水準で推移した。取引開始価格による評価額は335億ユーロだったが、上場後の時価総額は450億ユーロに達している。
ビベンディはこれまでに、中国のインターネット大手テンセントにユニバーサルの株式20%を売却。米投資家のビル・アックマン氏にも10%株式を売却した。残りの株式のうち、ビベンディは10%を手元に残し、60%株式をこの上場に先立ちビベンディ株主に無料配布した。ビベンディの筆頭株主であるボロレ・グループを含めて、ビベンディ株主は今回の上場で大いに潤ったことになる。なお、ボロレはユニバーサルの18%株式を取得した。
半面、稼ぎ頭のユニバーサルを失ったビベンディの株価は、予想されていたことではあったが、21日朝に14.6%の急落を記録。ビベンディの1-6月期の純益4億8800万ユーロのうち、92.6%に相当する4億5200万ユーロがユニバーサルに由来しており、ビベンディは今後、ユニバーサルに頼らずに利益が出せることをアピールすることが必要になる。
ユニバーサルは米カリフォルニア州に本社を置き、レコード会社としてソニーとワーナーを抑えて世界最大手の地位を誇る。2020年の売上高は74億ユーロ、EBITAは14億ユーロに上る。ストリーミング市場の成長でレコード会社は足元では好調だが、アーティストのレーベル離れなど新たな傾向への対応も迫られている。